羽生田たかしWEB通信29号

2020年5月18日

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羽生田たかしWEB通信29号
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  【超党派・医師国会議員の会より更なる提言】

平素は私の政治活動に格別のご理解を賜り誠に有難うございます。
さて、新型コロナウイルス感染症が国の内外で未曾有の危機となりつつある中、「超党派・医師国会議員の会」では世話人代表の衆議院議員 鴨下一郎先生をはじめとする与野党の医師国会議員と日本医師会 横倉義武会長より更なる提言を本日、加藤勝信厚生労働大臣に申し入れました。

超党派・医師国会議員の会事務局
参議院議員
羽生田たかし

  【医療提供体制の充実への提言】

 現在、医療現場では医療従事者不足をはじめ、マスク(サージカル・N95)やフェイスシールド、手袋といった医療用防護具不足、そして十分に医療提供出来るだけの資金すら不安視され、人・モノ・資金すべて足りないといった状態の中、医療従事者の皆様には懸命に治療に対応して頂いている。
超党派「医師国会議員の会」は、関係するすべての皆様の努力に感謝するとともに、医療現場における医療提供体制を充実させるために専門的見地から、国としてまた国民として、必要な取組みを提言する。

人員不足と過酷な勤務、自身の感染に対する不安
現在医療現場では、医療従事者の確保が大変困難であり、新型コロナウイルス感染症者以外の通常の医療提供すらままならない状態である。医療者には優先的に防護具(マスク・シールド等)の感染症予防に必要な資機材を含め、消毒液や医療用ガウンなど最前線で働く者のための環境を整えることが必要である。
それと共に、集団感染(クラスター)班だけでなく逼迫する医療提供体制への人材派遣をはじめとする人材の派遣と確保が急務である。また医療者が感染した際の迅速な労災対応や配置基準の問題や、濃厚接触者等も現場を離れ隔離治療される体制整備に努める事が必要である。交替可能な環境に到達しなければ医療従事者はギリギリの状態で疲労している。ひとりでも欠ければ医療崩壊を起こしかねないギリギリの現場を支援することが急務である。

国民への安心の担保
PCR検査の拡充に取り組んではいるものの、検査を受けられないといった不安が払拭出来ていない。検査の数を上げるためにもPCR検査センターを全国へ立ち上げ、ドライブスルーやウォークスルー、屋外テントの活用といった対策も実施することが急務である。また着実に医師が必要と判断した患者においては、保健所などの判断は必要なく実施できる体制の確保が必要であり、加えて短時間で検査が出来る検査法を確立すべきである。
抗体検査といった新たな検査の開発と速やかに導入できる体制の構築に努め、少しでも未知なる感染症に対する国民の不安を払拭すべく務めると共に、早期発見、早期からの重症化予防に取り組める体制整備の構築が必要である。

国民への感染拡大防止対策の徹底と協力要請
爆発的感染には耐えているものの感染者数は増減を繰替えしつつも収束には至る状況になく、気を緩めれば爆発的感染が起こりうる状態にある。徹底した自粛ムードを緩めることなく三密(密閉・密集・密接)を避け、人との接触を8割以上減らす取組を引き続き強く要請し「大切な人の命を守る運動」として展開する必要がある。

  【取り組むべき重点項目】

●検査時防護具の確保
・マスク・ゴーグル・手袋・防護服などの確保の為に国内生産の確立
・医療機器の確保(人工呼吸器・ECMO)
・消毒液などの衛生用品の確保と製造支援
以上を感染症拡大防止及び医療者の罹患防止として国の責任において
確保及び配布を実施する。

●PCR検査センター設置に対する、国として必要な支援
※検査数の増加とともに、妊婦や障害者など優先検査の実施
・屋外テントを利用した検査所
・コンテナ等を活用した検査所
・ドライブスルー検査所
・ウォークスルー検査所
等を利用して各都道府県が検査場所を拡大するに当たって、国としての必要な支援

●検査の推進
PCR検査の検出時間短縮や簡易化、また抗体検査の導入などを含め、必要数の検査が確保可能な体制の整備

●「帰国者接触者相談センター」及び「帰国者・接触者外来」を抜本的に改め、医師が必要と認めた患者へのPCR検査を全て実施できる体制をとり、陽性の場合には保健所に連絡をし、重症者・中等者への入院措置や、軽症者の指定宿泊施設等における隔離と健康管理・経過観察の実施及び急な容体変化に対応出来る体制整備の検討と実行

●病床及び指定宿泊施設の確保
新型コロナ感染症への有効な薬の開発が進展するまでは、爆発的感染阻止の為にも隔離を伴う指定宿泊施設や重症・中等症者への入院ベッドの確保を十分に行う

●治療薬及びワクチンの開発促進
アビガン等既存薬の適応拡大の研究と副反応のフォロー及び新薬開発支援やワクチン開発の加速、新たな治療法の開発と検討、現在行われている治験などの検証と情報収集

《医療崩壊を止めるための予算の確保》

補正予算での医療体制支援はPCR検査やベッド及び宿泊施設確保が主でわずか1500億程度、マスク確保や治療薬開発支援を含めても8000億程度である。これは医療従事者の命をかけた懸命な努力に報えない金額である。
診療報酬増額だけでなく、地域医療を崩壊させない観点から、医療従事者の十分な確保とベッド及び医療機器、そして患者を受け入れる提供体制と共に医療提供場所の確保(テント・コンテナ・トレーラーハウスなど)の充実の為の予算確保が急務である。
なにより国民の安心と安全、生命を繋ぐためには、新型コロナウイルス感染症対策のみならず、通常の医療提供体制を万全に務めなければならない。重症・重篤な疾患に国民が陥ることのない医療提供体制を確保する予算・財源確保こそが国の国民を守る最たる努めであり、十分な予算確保により、すでに起こり始めている医療崩壊を止めることが急務である。またコロナ感染症収束後においても疲弊した医療従事者への支援及び経済的打撃を受けた医療機関の再構築へも十分な予算確保と共に、地域医療を守る医療提供体制の支援が必要である。
今、まさに医療従事者にしか出来ない使命があり、その献身的努力により医療現場が持ちこたえてきたことを改めて認識すべきである。医療従事者の働く環境の保持改善は、マンパワーによってのみ回避出来ることがあり、人員確保や機器の充実などに十分な予算を充てる事に努める必要がある。
国民の生命は決して財源論では語れないことを肝に銘じ、平時からの社会保障及び医療提供体制の充実に全力を傾ける事が日本国民を守るために必要なことである。

令和2年5月18日
超党派・医師国会議員の会

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すべての人にやさしい医療・介護を
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